ビー玉の飴玉
今日は何色のビー玉ですか?
巾着袋の紐をゆるめ、片手でかき回し取り出すのだけれど
昨日も一昨日もその前の日も同じ色
会ったことのない父の違う兄さんたちをあなたの母に預け
私の父と一緒になった
嘘つきのギャンブル依存のヒモ男と一緒になった
兄たちの面倒をみるとすぐに消えた口約束
生まれてこれなかった私の兄姉たちも含めての私の命
そして、あなたは働き続けた手を見せる
そうだね
私は口を開けないと
曲がった指でそのビー玉をつまみ、微笑みながら私の口元へ
あなたがくれた飴は味がしない
あなたがくれた飴は溶けていかない
冷たく硬く私の腹に残る
それでも今日でごちそうさま
もうビー玉は増えることはない
私の袋にもビー玉がいっぱい
娘に見せる前にはしっかり磨いて、ちょっと見栄を張りキラキラさせて
大切なのは巾着の紐
飴玉の魔法にかからないように袋の紐はしっかり結んで